香港STYLE Vol.59 マルチタスクは世界を救う (2019.02.16)

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香港からこんにちは

 

街中が賑やかで華やかに彩られる旧正月休みが終わり、すっかりまた賑やかで華やかで、そしていつものマルチタスキーな日常に戻っていった金融国、香港。 

 

香港では、タクシーの運ちゃんもダッシュボードの上に携帯を4、5台並べて、株のデイトレしながら運転、、、そんな光景はごくごく普通です。  (てか運ちゃん、ちゃんと前よく見てね。 あと、スっても暴走しないでね。 言ってくれればすぐ降りる)

 

一つの物事に拘りを持ち続けそれを極め続け、、、なーんて、コスト&タイムパフォーマンスのよろしくない『一つに全てを捧げる型人生』は時間がもったいない!とでも言うかのように、キャリア、資産、あらゆるリスクを数多く分散させ同時進行させる、マルチタスク・マインドが香港民には染み付いています

名付けて『世界中いつでもどこでも即移動可能型人生』

この時代、それは強みですよね

 

また香港は、ジェンダーベース・ディヴィジョン (Gender-based Division) が少ないことでは、アジアの中でもトップ。 

そして毎年アメリカのシンクタンク、ヘリテージ財団と、経済紙ウォールストリート・ジャーナルが発表する、2019年経済自由度指数 (Index of Economic Freedom) でも、香港が25年連続で世界一位。 

財産権の確保、司法の影響、政府の廉潔性、税負担、政府支出、財務の健全性、そしてビジネス、労働、通貨、貿易、投資、金融の自由度。 ほぼそれぞれの項目で、毎年ポイントを増やし続けています

 

これ実は、よく考えると凄いこと。 返還後は金融貿易ビジネスセンターとしての地位が上海に凌駕され、経済集約力を含めた香港の魅力が失われてしまうのではないかという、あの外野の騒動は全くの杞憂であった、と言えるのではないかと思います。 

 

香港のような国際金融センターというのは、国や政府がちょっとやそっと本腰を入れたからといって、そう簡単に出来上がるものではないですし、中国市場をメインに扱うエコノミストや経済専門の報道機関なども、やはり活動は上海ではなく香港なのも事実。

契約、正式合意、条約の協定など、中国マーケットの金融コンセンサスは、ほぼ香港で作られているといっても言い過ぎではないかもしれません。

 

『一帯一路』を半ば強引に押し進める、中央政府の右腕、兼頭脳集団、兼実行部隊のアジアインフラ投資銀行と共に中國建设銀行 (亞洲) (China Construction Bank Asia) による情報伝達、公式報道も、香港の自由度を中国が上手く利用し実現しているものと言えるのではないでしょうか。  

 

香港返還交渉で、結果的にあの英国に譲歩させるほど、強行かつ抜け目ない姿勢を貫いた中国の外交力には、今でも何か底知れぬものを感じますし、また、脈々と受け継がれる中国共産党の、言ってみれば秘密結社のような巨大ピラミッド型掟組織も、有形無形の威圧感といい、香港が常々実感として接しているもの。

 

ですが、香港民の強みである『世界中いつでもどこでも即移動可能型人生』の柱となる、マルチタスク・マインド、そして彼らの「拘らない大らかさと拙速さと図太さ」という素質がある限り、たとえ世界終末時計が30秒進んで零時まであと1分半となる世の中が来たとしても、その頃の香港はまたきっと「そんなのどこ吹く風〜」で、独自の道を見つけていると思うのです

 

心がパッと華やぎ富をもたらすパワーのある、彼らが大好きな、たとえばこんな赤い宝石と一緒に、

JUN

 

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