香港からこんにちは
亥年の2019年!
その名の通り、猪突猛進。 曲がったことが大嫌い。 何事も目的を達成するまで決して諦めないと言われる、芯が強く初志貫徹がモットーの干支、ザ・イノシシ🐗
私の周りにもいますいます。 一本筋の通った、カッコいい年男年女、イノシシーズが。
と、こ、ろ、が、、、
ここ香港を含む中華圏では、実は今年はイノシシ年ではないのです。 では何かと言うと、、、
ブタ年 (The Year of Pig)
ブヒー
イノシシ (Wild Boar) と言わずに、ブタ (Pig) ときた。
いや、そもそもイノシシとブタって違う動物なんじゃぁ? と思って調べましたら、私の世間知らずな無知が発覚。
ななんと ブタはイノシシが家畜化された種。
そして、
なななんと イノシシはブタの先祖なり。
『ブタを遡るとそれはイノシシだった』なんてこと、『トンネルを抜けるとそこは雪国だった』ってくらい、要するに誰でも知っている、、、てそれすら知らなかった、ダブルで衝撃的な2019年の旧正月。
《ブタのご先祖様はイノシシな〜り〜》
じゃあイノシシはいったいいつ豚になったの?、イノシシを代々飼っていればいつか豚になるの?、豚を野生に返すとまたイノシシになるの?、、、などなど、素朴な疑問も次々と浮かんでくるのですが、これらは簡単に解決できる問題でもなさそうで、完全に人を煙に巻いてくる『2019年日中イノシシ・ブタ問題』
実は「猪」(広東語では「豬」) は日本語でイノシシですが、広東語や中国語ではブタのこと。 そして広東語で、イノシシは「野豬」(イェジュ) や「山豬」(サンジュ) となります。
今年の干支について、日本だけが他のアジア圏と違い『ブタではなくイノシシ年』であることが、台湾では驚きを持ってニュースになったそうですが、、、いやいやこっちも驚いたよ、そちらさんの『イノシシではなくブタ年』にね。 ブー
日本語では「ブタ」というと、褒める言葉には使われなかったり、ちょっぴり残念なイメージを持つことも多い動物ですが、中華圏では正反対。
実は、めちゃくちゃイケてる、豊かさのシンボルなんです
なんといってもブタさん、ご存知の通り何でも食べて肥え太り、多産で育てやすい。 そんなことからも、中華圏ではとっても縁起のいい動物とされています。
香港のお祝い事には必ずと言っていいほど登場する定番のブタさん 、、、の丸焼き (合掌 & 感謝)
結婚、出産、誕生日、快気祝い、開業、起業、ビジネスの拡大、スポーツの壮行会から、ドラゴンボートレースの進水式まで、、、香港人のあらゆるお祝いごとに欠かせないのが、この「豬」の丸焼きです。
ブタのお肉には、タンパク質が豊富に含まれており、疲労に効果的なビタミンB1も牛肉や鶏肉の10倍!だそう。 美容と健康に良いとされ、手から足から、文字通り感謝と共に、全て頂くのが香港スタイル
また、香港で女性が出産すると、必ず振舞われるのがこちら、
『豬腳薑醋』(ジュー・ガ・ガン・チョウ)
て、この写真では中身がなんだか分かりませんよね。
では、開けてみます
なんか凄い色だけど、これも、一体何がなんだか、、、
では出してみます
やっと、なにやら正体が見えてきました
上が卵で、下が豬 (日本でいう、ブタ) の脚。 ブー
骨つき皮つき筋つき腱つき、という、まさにそのままブタちゃんの脚をチョップしたものを、そのまま漬けて煮込んで、MARMITE (マーマイト。好き嫌いが絶対真っ二つに分かれる、オーストラリアの国民食) のような、ドロドロテクスチャーのヴィネガーソースで絡めていただくこれ、中華圏で出産のお祝いに必ず出される、伝統的定番メニューです。
(クレヨンしんちゃん、ごめんあそばせ)
古くは、一族の中の女性メンバー誰か (大抵、妊婦さんのママ) が、ブタの脚と卵と生姜を大量のお酢に漬けて甘酸っぱいソースにして煮込むシロモノ。
出産直後の女性はもちろん、周りの家族、親戚、友人、知人にも振舞われるお祝いメニューで、決して、美味しいからではなく、伝統だから、身体にいいから、縁起物だから、という理由で「良薬口に苦し」を地でいく、中国古来からの薬膳メニューです。
出産を終えたばかりの女性は、有無を言わさず必ず食べさせられるもので、超固茹で卵に、生姜特有の香り、そして何より、豊かさのシンボル「豬」= ブタの脚を食べてる感が存分に楽しめる、味の保証はしないけど、女性の身体を温める要素はたっぷりの、漢方美容健康食です
ね? カッコいいイノシシもいいけれど、何でも食べて、子供をたくさん産んで、豊かにブヒブヒ栄えていくブタさんも、なかなかいいでしょう?
ブー
JUN