香港からこんにちは
翡翠色の南シナ海と迫りくる岩山の間に、華麗に花開いた国際都市、香港。
この街はさまざまな時代のうねりをしなやかに乗り越え、世界有数の国際金融貿易都市として輝きを放ち続けていますが、意外にもあまり知られていないのが、香港の自然の豊かさ。
例えば、ヴィクトリアピークのウォーキングコースから香港を見下ろす時、コースを一周する短い時間で2つの全く違った景色を見ることができるように、近代的大都市と豊かな自然という対照的な贅沢が、手の届くところに共存しているのが香港の魅力なのです。
ヴィクトリアハーバーに面した、エネルギッシュでドラマチックな大都市。
裏香港の、穏やかで大らかで全てを包み込むような、海と空と太陽の自然。
物質的な贅沢を超えたその先にある、ラグジュアリーでサステナブルな香港。 そんなところこそが、本当の香港スタイルだと思うのです。
香港には235の島々があり、ビルが建っている部分は実は陸面積全体の3割弱。 残りは自然公園や自然保護地区で、とても自然が豊かです。
「東洋の真珠」と称されるこの街にとって、中でも海は特別。 ヴァカンスやレジャー、社交の舞台でもあり、香港繁栄の要となった海運ビジネスの舞台でもある海。
香港には、海の見える場所は多数ありますが、中でも香港島南西部から見る海は格別です。
特に海岸の高台を走るヴィクトリア・ロード (Victoria Road) や サイバーポート (Cyberport) から見る西の海は、実は香港で私の最もお気に入り。
海のすぐ目の前に広がるグリーンのオープンスペースに寝転がって、高い空を見ながら海風を感じ、遠くに響く大型船舶の汽笛の音を聞いているだけで、心がゆったりと穏やかになります。
いい気の流れだけが満ちる、最高に贅沢な空間。
パライバトルマリンを思わせる青緑色の海に、どこまでも続く高い空。
オープンエアの船上ダイニングも楽しめる、すぐ近く住む住人所有の真っ白なクルーザーが係留していたり、
世界全体が一瞬ゴールドに染まる、神々しいほどに美しいサンセットも。
エレガントでダイナミックで心地よく、豊かさに満ちた香港の海は、唯一無二の宝石のような美しさと尊さがあるような気がします。
香港は、本当に不思議な街です。
世界地図で見ると小さな「点」に過ぎませんが、この街の真価は国土の大小や人口という尺度を遥かに超えた、街や人の成熟度、洗練度、多様性、多面性、未知の可能性などが織りなす密度の濃さであり、それらはダイヤモンドのように永遠に輝き続けるに違いないと、海を見るたびに思うのです
JUN