香港からこんにちは
龍が飛び交うと言われる風水都市、香港。
確かにこの街には、まさに今、龍が駆け抜けたような風を感じる、不思議な瞬間があるような気がします。
この街で駆け抜けるのは、龍だけではありません。 「駆け抜ける」というよりは「すっ飛ばす」と言った方がぴったりではありますが、香港市民にとって日々の生活で無くてはならないもの。 それが、
ミニバス
広東語で、小巴 (シウバ)
広東語のイントネーション並みに隆起に富む香港の地形を知り尽くし、大衆食堂、茶餐廳の客回転よりも合理的で、香港名物、姿勢と足の速さが自慢の香港人お婆ちゃん達の歩速より速い (当たり前か)、この香港ミニバス
複雑な路線形態なうえ、乗車には高度な広東語力と土地勘と度胸が絶対条件。 よって利用者はほぼ全員地元民というローカル度満載の、その濃さ宮川大助・花子の漫才を見たあとの様な充実感
MTR (香港の地下鉄) や、ダブルデッカーバス (2階建路線バス) が通らない場所を中心に、香港の隅々までを網羅する「16人乗り立ち乗り禁止」のマイクロバスで、文字通り、香港市民のどこでもドアになってくれる強〜い味方なのです
2017年7月からは、路線によっては19人乗りにアップグレードの (って、3席増えただけかい でも車椅子にも優しいの) 、香港の下町には不釣り合いなくらい小綺麗な新ミニバスも登場し、就航以来一度も車内清掃したことなさそうなのが誇り (いや、埃) だった、愛すべき旧型香港小巴からの世代交代が徐々に進められています。
それはそれでちょっぴり寂しいのは、きっと私だけではないはず
ミニバスの種類は2つ。
マルちゃんの赤いきつねと緑のたぬ、、、じゃなくて、赤い屋根と緑の屋根の2種類。
紅色小巴 (ホンセッシウバ)
綠色小巴 (ロッセッシウバ)
車体は両方ともクリーム色ですが、タイヤとヘッドライトとナンバープレート、要するに隠したら走れないか違法になる部分以外は、車体全面に広告が施されているため、元々の色であるクリーム色は、ほぼ見えません
ですので、頭で見分けます
さて、このきつねとたぬき、何がどう違うかというと。。。?
① 決まった路線、停留所があるかないか
② 車内に料金支払い箱があるかないか
③ 運営が香港政府か香港マフィアか
・・・という、たったのこれだけ
香港の「たったこれだけ」は侮るなかれ。 乗車前の心の準備とルートの予習及び段取り、そしてアンパンマンほどの己の勇気を試される、運命のきつねとたぬき、もとい赤と緑のミニバスなのです。
先の3つの違い以外は、使い勝手はきつねもたぬきも基本的に同じ。
2階建大型バスが停留所ごとにバス停名を、広東語、北京語、英語の順でアナウンスし車内前方の電光掲示板にも表示してくれるのに対し、ミニバスはそんなの一切なし
また、ミニバスは運ちゃんの城も同然。 食べ終わったお弁当の空箱に積み重なった1週間分の新聞に傘、好みの歌謡歌手の写真や中国戯曲の公演ポスター、龍の絵柄がド派手なタンブラーに、手がゆらゆら揺れる金色招き猫の置物。。。
そんな運ちゃん家のリビングがそのまま移動してきたかのような運転席周辺に加え、香港電台 RTHK (香港のラジオ局) を大音量で流しながら、急ブレーキ急アクセルですっ飛ばしていきます
旧型ミニバスの乗客定員は16人まで。 満席になるとフロントガラスにのカードが表示され、どこかで乗客が降りて席が空くまで、停留所に人が待っていても素通りしていきます。
又、始発のミニバスターミナルでは、きちんと列を作って並ぶ良い子の香港人ですが、何度数え直しても自分が先頭から17番目だと知った時のショック。。。
数えるとどうやらぎりぎり16番目。 「ラッキー 私乗れる、あなた乗れない」と有頂天になりながらすぐ後ろの人に無言の優越感ビームを送り、余裕かましていざ乗ろうとしたら目の前でドアが勢いよく閉まり。 。。
呆然としながら、それが単なる自分の数え間違いだったという現実に気付き、さっきまでのビームは何処へやら、心折れる寸前に。。。
って大袈裟な
そんな香港人の悲哀も、ミニバス、きつねとたぬきが織りなす日々のドラマであり、香港スタイルなのです。
次回は、ちょっぴり難易度高めローカル的ミニバス攻略法をご紹介しますね
JUN