香港からこんにちは
喧騒の中を、お気楽なテンションで走る香港の2階建の路面電車、Hong Kong Tramways。 通称、香港トラム。
レトロな形の車体にカラフルでモダンな広告が映え、大都会を走るその様子は、東洋と西洋、新と旧が心地よく混ざり合う香港そのものです。
風情だけではありません、実用性だってバッチリ 幹線道路に約200メートルごとにトラム駅があるので、ひとつふたつ降りる駅を間違えても大丈夫。
「もうひと駅だけラクしちゃお〜っと」なんて調子に乗って乗り続け、目的地が見事に目の前を通り過ぎるのをトラムの中から眺め、結局歩いて戻る、、、なんてこともあったりして。 それもまた人生ナリ、ということも教えてくれる、とっても師匠な香港トラム
目まぐるしく景色が変わる香港で、どのエリアを背景にしても不思議とマッチするトラムの車両は、ローカルアイデンティティを持ちながらも世界基準という、不思議なバランス感覚を持つグローバルな香港人の姿とも重なるような気がします
通過するエリアによって乗客の顔触れが変わるのも、香港トラムのおもしろいところ
下町ではフードマーケットでお買い物帰りの主婦が、住宅街では子供の習い事の送り迎えをするアマさんが、金融街ではトラム2駅先にあるオフィスビルへミーティングに向かうのか、書類ファイルを抱えたバンカーが。
香港トラムは、多種多様な人々の時間を運びながら、今日もマイペースに香港の街を走っていきます
トラムの駅は、こんなかんじで道路の真ん中にあることがほとんど。
横断歩道がすぐ横にある場合は、横断歩道を半分まで渡ったところでプラットフォームにラクラク行けますが、プラットフォームだけが独立してある場合もよくあります。
そんな時は、まぁ不親切だわ!などとは憤らず、咄嗟の判断力を訓練する絶好のチャ〜ンス!と思って、臨機応変に横断し無事辿り着いてください 香港は人を甘やかしませぬ
香港トラムのプラットフォームは細長く、トラムを待つ時は、できれば真ん中あたりにいるのがよいでしょう。
トラムの乗車は車両の後部から、そして降車は前部からするため、プラットフォームの一番前先端で待ち構えていても、降りてくる人達の邪魔にはなれど、そこから乗ることはできません。
あまり深く考えずに、適当な場所で適当に待つのが香港スタイル。 大抵2〜3台連なって、適当にやって来て適当に乗客を乗せて出発します
まぁ突っ込みどころは満載な香港トラムですが、1904年の開通以来、今年で114年。 人々の短距離移動手段として現在も大活躍しているところをみると、息の長いその秘訣は、ザ適当さにあるのではないかという、なんとも適当なオチまでついている、なんとも人間的な香港トラムです
トラムの中は、1階席は向き合って座る両サイド長椅子の座席、2階席は車両の前方と後方に向き合う座席が数席あり、あとは進行方向を向いて座席が並びます。
2階席へはこんな、狭っ!な階段を上り下りし、体幹トレーニングにも使える香港トラム。 ジム要らずです
1階席からは、街をゆく人々の動きや会話がすぐそこに、2階席からは、香港の躍動感溢れる街並みを見ることができます。
香港名物、竹の足場だって健在。 下町ならでは、生活感溢れる雰囲気の、サイインプン(西營盤)
活気溢れる商業地域、ワンチャイ(灣仔)や、コーズウェイベイ(銅鑼灣)
アジア経済の中心、金融街のあるセントラル(中環)やアドミラルティ(金鐘)
モザイク画のような街、香港。 ひとつでもピースが欠けると絵にならないように、香港トラムは、香港というモザイク画のピースなのでしょう。 100年以上変わらない、その音色も景色も
JUN