香港STYLE Vol.22 ヴィクトリア・ピークから⓸ 秘密の花園編 (2018.06.02)

香港スタイル生活自然

香港からこんにちは

意外な組み合わせや、正反対のものが隣り合わせに存在し、即興的に私達を楽しませてくれる街、香港。

ヴィクトリア・ピークのモーニング・トレイル (Morning Trail/晨運徑) では、緑豊かな大自然から一転、目の前に現れるヴィクトリア・ハーバーのアーバンビューを楽しませてくれました

 

さてウォーキングを楽しんだら、ちょっと休憩 モーニング・トレイル出発地点の横にあった、レンガ造りのレストラン、太平山餐廳 (The Peak Lookout) で一休みもおススメです。

シーフードやグリル料理が大人気のこのレストランは、過ごしやすい気温になる11月頃からはテラス席がおススメ。 朝早くピークに登って、ウォーキングの後いただくブレックファーストも格別です

でもピークの楽しみは、これだけではないんですよ。 ご紹介したモーニング・トレイルの他に、実は、地元の人達も知る人ぞ知るという、秘密の花園があるんです

この場所こそ、ヴィクトリア・ピークを訪れる醍醐味と言ってもいいくらい、本当に素晴らしい空間なのですが、ほとんど知られていないのが、またいいところ。

 

ヴィクトリア・ピーク・ガーデン

(Victoria Peak Garden/山頂花園)

 

モーニングトレイルの出発地点ハーレック・ロード (赤) と、終点ルガード・ロード (青) との間に、マウント・オースティン・ロード (Mount Austin Road/柯士甸山道) (黒) という邸宅街があります。

右手にThe Mount Austin という高級マンションの外壁を横目に進み、右に折れたところで見えるのが、マウント・オースティン・プレイグランド (Mount Austin Playground/柯士甸山遊樂場)。

The Mount Austin の住人や周辺マンションに住む家族がよく使う、静かで贅沢な空間。 たった数百メートル下のピーク・タワー周辺の喧騒がまるで嘘のようです。

 

お天気のいい日は、芝生の上で休日を楽しむファミリーや、年配の御夫婦が仲良くお散歩をするなど、マウント・オースティン・ロード・レジデンスの憩いの場となっています

でもまだここは、本当の秘密の花園ではないんですよ。

さらにマウント・オースティン・ロードを左方向に進んで行きますが、この辺りから少しずつ道幅は狭くなってきます。

 

 

それでも道の両側にはピークの高級マンションが点在するなど、とびきりラグジュアリーな雰囲気

そんなマウント・オースティン・ロードを歩くこと約20分。 たどり着いた先に見えてくるのが、ヴィクトリア・ピーク・ガーデンの、ゲート・ロッジ (守缳室) です。

白にライトブルーの窓枠が小粋なデザインは、なぜかとってもイギリス風

ここで「あっ」と思われた方、そうなんです

現在ヴィクトリア・ピーク・ガーデンとなっているこの場所こそまさに、ヴィクトリア・ピークの歴史の始まり。 香港総督の別荘、マウンテン・ロッジ (Mountain Lodge/香港總督山頂別望) があった場所だったのです。

第6代香港総督 サー・リチャード・グレイブズ・マクドネル (Sir Richard Graves McDonnell/麥當奴) が、この場所に避暑用の別荘を建てたことから、上流階級の間でピークに住むことが一種のステイタスとなり、ピークトラムも開通したました。

そう、ピークの全ては、ここから始まったのですね

 

残念ながら総督の別荘は、太平洋戦争中、香港の戦いで損傷を受け、1946年に解体。

現在、かつての別荘があった名残りは、公園入口のゲート・ロッジ (守缳室) のみですが、敷地内に足を踏み入れると、そこに広がる風景は不思議とイギリスの空気🇬🇧

 

ゲートから建物をつなぐランドスケープデザイン、このような秘密の花園を彷彿とさせる庭園デザインは、イギリスの邸宅にはよくあるスタイルです。

 

 

アジアの熱帯雨林であろうとアフリカのサバンナであろうと、自国イギリスのライフスタイルをそのまま移動させることにかけては、筋金入りのイギリス人

 

ガーデンの中をゆっくり歩いて行くと、こんな美しいイギリス式庭園にも出会います。

 

そして、いよいよ総督の別荘が建っていたという高台へ。

 

ヴィクトリア・ピークで一般の人が行けるのはここが最も高い場所になります。

ここで出会うのは、東洋の神秘と謳われる裏香港の美しい景色。

 

 

澄み切った空の下、聞こえてくるのは鳥のさえずりと、葉が風に揺れる音だけ。 目を閉じると、南シナ海から流れてくるそよ風が、身体の中に染み込んでいくようです。

何もせず、何も考えず、頭の中を空っぽにし、ただ自然の空気に身を任せる贅沢な時間

 

そして、裏香港のサンセットを見ながらの帰り道。 空の色が徐々に変化し、遠くの島がその空気にふんわりと包まれていくようです。

 

最後に、昼間の摩天楼から夜の摩天楼へ大変身した香港。  もう何も言葉はいりませんね。

 

美しい景色の数々を見ながら、香港が歩んできた激動の歴史に想いを馳せ、それでも力強く前進し続けるこの街には、やはり力強い龍脈が流れている、そんな気がします

JUN

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