香港STYLE Vol.11 香港人と廣東話 ⓶ (2018.03.17)

香港スタイル生活

香港人と日々接する中でよく感心させられるのが、彼らの会話と語学のセンスです。

もともと外向的で好奇心旺盛、そしてお喋り好きな民族性を持つ彼ら。 香港人が2人と寄れば話題は尽きることなく、あっちでもこっちでもお祭りのような賑やかさになります。

 

彼らのコミュニケーションの基本はずばり、単刀直入。 要点以外の社交辞令や勿体ぶった遠回しの表現などは、時間の無駄。  いったい何が言いたいのか分からん頭の悪いヤツだとばかりに、イラッとサラッとすっ飛ばしてすぐに本題に入ります

たった2分の会話でも話はどんどん進み、生きた情報がどんどん動く香港人のコミュニケーションスタイル。 それは、高速道路反対車線の大渋滞を横目にスイスイ運転する時のようなあの爽快感と、通勤快速電車で他駅を通過する時のあのお得感を一緒に味わっているようなかんじ

 

マルチタスクの実社会で、あらゆる問題発生時にすこぶる強い免疫力と要領の良さを発揮する、頼もしい香港人。

たとえ無人島に流されても、家を建て街を作り、きっと最後は経済発展までさせてしまうそんな強い生命力が、香港人にはあるような気がします

 

極めて現実的で合理的な彼らの発想とセンスは、母語「廣東話」にもいかんなく発揮されています。

 

語学センスとは言っても、いわゆるええ格好しいを嫌う香港人。

英国による統治が長かった香港では、昔から多くの英単語が香港人の生活に浸透していました。 それらはアルファベット表記だけでなく、もちろん漢字でも訳されていたわけです。 言葉の「音」を漢字に当てたものと「意味」を当てたもの、2種類に分けられて。

 

な〜んて言ってもやっぱり、そんな小難しくて堅苦しいこと、当の香港人がいちいち考えて生活しているわけがありません

音か意味かなんて、その辺の線引きは結構適当なようですし、たまたま暇だった肉屋のおじちゃんがひらめきで言ってみた ⇒ アイヤ〜そのまま広まっちゃった ⇒ OKラ〜 、、、的なことがいかにもありそうな街、それが香港

2200年の歴史を誇る廣東話がそんな適当さでいいんでしょうかとも思いますが 、そういうことに執着しないのが香港人の良さであり、香港スタイル

 

それではいってみましょう、オモシロ廣東話

音を当てた廣東話

① 三文 (サァンマン) : サーモン

→ お魚です。 文字はアカデミックな見た目ですが、お勉強とは何ら関係ありません。 2秒で決断したに違いない、たまたま思いついた字を当てました感満載の適当さ。

 

② 的士 (ティキシ) : タクシー
③ 巴士 (バーシ) : バス

→ 誰でも読める & 誰でも書ける分かりやすさ。 考えた人、グッジョブ

 

④ 多啦A夢 (ドラエィモン) : ドラえもん

→ アルファベットを混ぜてまで「ドラえもん」の音を忠実に表現したかったのでしょう。 香港人も、とっても大好きドラえもん

 

⑤ 波士 (ボシ) : ボス (上司)

→ 波止場で働くおじちゃんのことではありません

 

⑥ 卡樂B (カロビィ) : カルビー

→ 言わずと知れたカッパえびせん、ポテトチップスの日本のスナックメーカー、カルビー。

 

意味を当てた廣東話

① 電腦 (ディンロウ) : コンピュータ

→ 電気の脳みそ=コンピュータ  まぁ確かに。

 

② 熱線 (イェッシン) : ホットライン

→ 思わず火傷しそうな字ですが、熱くありません。 企業などによくある顧客向け直通電話サービスのこと。 ホントそのまんまです。

 

③ 手袋 (サウドイ) : ハンドバッグ

→ 手=ハンドバッグ。 なるほど、そうきたか。 ちなみに日本語が意味する手袋は 手套 (サウトウ) 。

 

④ 牛津 (ンガウチョン) : オックスフォード

→ 英国最古の大学がある街 Oxford も、漢字にするとちょっと茨城風?(←それ牛久)  オックス=Ox (雄牛)、フォード=Ford (川や浅瀬など水に関係する場所=津)。ちなみにケンブリッジ Cambridge は 劍橋 (ギムキウ)

 

⑤ 細菌人 (サイクワァンヤン) : バイキンマン

→ どれだけ不潔な人と思ったら、国民的ヒーロー、アンパンマンの永遠のライバルのことではありませんか。  ちなみにアンパンマンは 麵包超人 (ミンバオツィウヤン)、ドキンちゃんは 小病毒 (シィウベンドッ)、しょくパンマンは 吐司麵包超人 (トイシィミンバオツィウヤン) で、カレーパンマンは 咖喱超人 (ガーレイツィウヤン) です。 って、知ってても全然役に立ちません

 

⑥ 雌激素 (ツィゲッソウ) : 女性ホルモン

→ 日本語読みで、めすげきそかなりのインパクトですが、結構本質突いてます。 男性の皆様、女性が突然拗ねても許してあげてね。 だってそれは激素の仕業ですから

 

⑦ 老婆 (ローポー) : 妻

→ なんて失礼なっなどと怒ってはいけません。 まぁ落ち着いて。 香港人男性は恐妻家、、、じゃなくて愛妻家。 でも真面目にこの字。  ちなみに、夫は 老公 (ローゴン)。

 

⑧ 鬼婆 (グァイポー) : 欧米人女性

→ この当て字も最高です。 鬼 (グァイ) は、廣東話でゴースト、幽霊のこと。 薄暗い所で見たら幽霊に見えたのでしょうか  深く考えてはいけません。 ちなみに欧米人男性は 鬼佬 (グァイロウ)。

 

 

とまぁほんの少しでしたが、いかがでしたか?

言い得て妙というか、ここまでいろいろ表現してしまう漢字言語の覚悟と凄み、香港人の発想とセンス。

これはやっぱり彼らの愛すべき立派なアイデンティティだと、私には思えるのです

JUN

 

タイトルとURLをコピーしました