つまるところ、香港の魅力って何?と聞かれたら、きっと私は「香港人」と答えるでしょう。
超高層ビル工事現場の竹の足場を作るのも、日本の2.5倍速はあるハイスピードエスカレーターをさらに駆け上るのも、テレサテン日本語版を大音量でかけながら、歌姫の魅力を熱く語るタクシードライバー (ちゃんと前見てね) も、みーんな香港人。
1日32時間生きてますオーラを振りまいて、街を闊歩する香港人
この街の住人「香港人」と、彼らのアイデンティティである「広東語」にかかると、何気ない日々が魔法のようにカラフルに彩られていきます。
香港のローカル言語、広東語。
「廣東話 」(グォンドンワ。英: Cantonese) 。
廣東話は、約2200年前から話されている、中国で最も古い言語です。
現在中国の公用語である「普通話」 (プートンホワ。英: Mandarin。北京語が標準音) の歴史は約400年。 廣東話の長〜い歴史は、この伝統言語が中国の戦国史をくぐり抜け、逞しく生き残ってきたことを物語っています。
廣東話は、香港、マカオをはじめ、中国南部の広東省、広西チワン族自治区を中心に話されている言語で、香港のイントネーションが標準です。
中国全土から見ると廣東話をネイティブとする地域はとても小さいのですが、世界中のチャイナタウン、華僑、華人社会の主流言語は、ほぼ100%廣東話。 華僑ビジネスを成功に導き世界中に根を張る華人ネットワークの要は、彼らのアイデンティティ「廣東話」なのですね。
中国の公用語が普通話である現在、廣東話は「方言」になるわけですが、中国の場合国土が広く、私達の想像する方言とは随分異なります。
口語コミュニケーションでの普通話と廣東話、それはもうほとんど外国語と言ってもいいほどの違い。
普通話は音が4声しかないのに対し、廣東話は9声 (細かく分けて12〜13声と言う学者もいます)。
さらに約110種類もの長短、高低、重軽、そして廣東話特有の「入声音」 ( k、t、p で終わる独特の〆音 ) など微妙な音の違いが多数あり、これが他の言語にはない廣東話の魅力的な音になっています。
また、日本語は形容詞が多いのに対し、廣東話は、動作を表す動詞が多いのも特徴です。 この辺も、それぞれの民族性と関係があるのかもしれませんね。
とはいっても、こ〜んな小難しくて堅苦しいこと、当の香港人が考えながら話しているわけがありません
廣東話は基本が「しゃべり言葉」です。 表現キャパシティが広く、語彙も豊か。 とにかく大きな声でどんどん話す、これにつきます。
語気が強く、発音、声調、声量、そして発声のスピードがキーポイントの廣東話。
香港に住み、この土地の人や文化や習慣にどっぷり浸かりながら慣れていくこと、それが習得のポイントです。
かくいう私も、まだまだ修行の身。 幼少期にこの街で過ごした音の記憶は、細胞レベルではどこかにあるのでしょうけれど、なにせ頭で考えようするから、2つ入っては1つ抜けの繰り返し
しかしそこは国際感覚の洗練された香港人。 相手が言わんとすることへの察しは鋭く、結構な頻度で理解してくれる彼ら。 ありがたや
たまに私の発音が違うと1回では通じず、ただそれ以上は絶対に待ってくれない香港人。
大きな声で「はぁ〜〜〜〜〜??!!」と肉屋のおじちゃんに露骨なイラッと顔をされることもありますが、そんなことで怯むようでは香港では生きて行けません。
基本裏表はなく、人好きでお喋り好きでハートは温かい彼ら。 意地悪の「はぁ?!」ではなく、本当に聞き取れなかったと思って間違いなし。
よしそれならばと、声量調整のつまみをMAXにし、おじちゃんの「はぁ?!」を大きく上回るボリュームで、はいもう一回。 無事成功
「哦! 我知你講乜喇!」(オ〜! ンゴツィレイゴンマッラー!)
訳: お〜! 何だいそーゆーことかいラー!
と豪快ガハハで返って来ます。
おじちゃん、おもしろすぎ
関われば関わるほど彼らの温かみに触れ、幸せ貯金を増やしてくれる人達。 それが私にとっての香港人なのです
JUN