香港といえば、近代的な超高層オフィスビル (現在最も高いビルで118階) や、高層住宅の多くが60階以上という摩天楼が有名ですよね
そんな街 香港ならではの名物が、建築現場にあります。
建築現場❓❓❓
ここでピンと来られた方は、かなりの香港通です
ジャン
そう、これ。 ビル建築現場の、竹の足場です。
広東語で、搭棚 (ダ パン)。
ビルの外壁に張り巡らされたこの足場、ぜ〜んぶ竹です。
アジアの重要な投資拠点でもある香港は、いつも街のあちこちで建築工事が行われています。
経済の躍動感が日々街中に溢れているのですが、その建築現場を支える足場は、例外なく竹
鉄パイプや鉄板で組むのではなく、昔からどんな高いビルでも竹を使います。
地上からはるか上まで外壁をぐるりと覆い尽くす竹の足場は、何度見ても圧巻
ビルの外壁に米粒のように張り付いて見えるのが、搭棚を組み立てる熟練の職人さん達。 足場を作っているところです。
ひょいひょいと移動しながら、息のあったチームワークで技術と経験と判断力を頼りに、あの高さまで竹を組み立てていきます。 その速さ、正確さ、手際の良さ。
お見事という言葉がぴったり
また街を歩いていると、竹を運搬するトラックや道路脇に竹が積み上げられた光景にもよく遭遇します。
まさに神業の搭棚技術とは裏腹に、こういうどうでもいいところはかな〜り大雑把 ⬆️ 、というこれも、香港スタイル
高層ビル建築現場の巨大クレーンと、竹。
なんだかとてもアンバランスな組み合わせに感じますが、香港ならではのこの手法、重機を多用する現代でも実はとても理にかなったものなんです。
竹は軽く、運搬、組み立て、解体がラクでスピーディ。
また、高温多湿の香港では鉄は錆びやすいのに対し、竹はむしろ湿度に強い。 繊維があるので柔軟で折れずにしなり、ある意味安全です。
網の目のように組み立てられ、どこかが壊れても周囲のバランスにほとんど影響がないそう。 衝撃を分散して受けるので、見た目よりもかなり丈夫なんだそうです。
竹を縛り固定するのは現在はナイロン製の黒い紐ですが、昔は竹の皮だったそうです。
結び方も昔からある搭棚独特の技術が継承されていて、こんな細い紐で大丈夫なのかしら?と一瞬不安になりそうですが、決して緩まないのだとか。
昔からの技術には素晴らしいものがたくさんあるんですね
余談になりますが、今月1月11日、香港島セントラル (中環) のプリンスビル (太子大厦) に、香港最大級のエルメスブティックがリニューアルオープンしました
特徴的な格子状の外観は、デザインを担当した建築家 ドゥニ・モンテル が、香港の建築現場で見られるまさにあの竹の足場、搭棚から着想を得たそうです。
外観こそ本物の竹ではありませんが、店内の階段や仕切りなどは、随所に明るい色調の竹が使用されています
おもちゃ箱をひっくり返したようなカオスと秩序、東洋と西洋、伝統と合理性。
一見相反するものを見事に融合させる街、香港。 それが、褪せることのないこの街の魅力ですね
JUN