香港からこんにちは
日常の心を豊かに満たす、自分だけの小さな幸せエッセンス。 皆さまは、どんなものをお持ちですか?
たとえば、香り。
週末にゆったりとした気持ちで丁寧に淹れる、香ばしいコーヒーの香りに幸せを感じたり、
祖母から母、私、そしていずれは娘、そのまた娘へ。。。 家族の歴史が、想いと共に受け継がれていくジュエリーが詰まった宝石箱を開ける時にふと香る、思い出の香りだったり、
春色に誘われて買ったブーケの、光と透明感に溢れる優雅なローズの香りだったり、、、
また、自分だけの ”仕立てのいい香り“ を肌に馴染ませ、服の奥からパーソナルに香らせる、お気に入りパルファムだったり。。。
『 EDITIONS DE PARFUMS 』
– 香りの出版社 –
そんなコンセプトを掲げる、ひときわラグジュアリーなパルファム・ブランドをご存知ですか?
自らを “香りの編集者” と位置づける、Frédéric Malle (フレデリック・マル) 氏の創設による、知る人ぞ知る真のラグジュアリー・パルファム・コレクション。
『 FREDERIC MALLE 』
パルファン・クリスチャン・ディオールの創設者を祖父に持ち、母もその仕事を継承。 叔父はフランス映画監督の巨匠ルイ・マルという、幼少期から、香りと芸術に囲まれて育ったフレデリック・マル氏。
真の豊かさと美しさを讃えるラグジュアリーなパルファムを、現代に蘇らせたいと考えたのが、構想の始まりだったそうです。
私の仕事とは、、、と、マル氏は語ります。
「フレグランス業界で世界最高峰の調香師達に、完全に自由な環境のもとで創造し、自身を表現してもらうよう導くことです。 彼らと私の関係は、作家と編集者の関係に似ています。」
1990年頃からのパルファムは、まるで価値が失われたようだったと、マル氏は言います。
万人を満足させるためようなワンパターンのフレグランスばかりが作られ、ビッグブランドになればなるほど、マーケティング部門はイメージを最重視。
華々しいボトルやパッケージの開発、フレグランスのローンチイベントの企画や有名人を使った大々的な広告などに、より多くの関心が注がれ、残念なことに、パルファムのクオリティそのものは軽視されていました。
ビッグブランドのマーケティング担当者は、香水のクリエイターである調香師に、いわゆる “売れ筋” や同じようなものばかり作ることを求め、真のパルファム・クリエイションは失われていたのです。
それはまるで、F1ドライバーに路線バスの運転をさせるようなものだったのかもしれませんね。
パルファムを再び主役に、その価値を取り戻そうとフレデリック・マル氏は、世界でトップクラスのマスター級調香師12人にコンタクトを取ります。
そして彼は、原料にかかる予算や期限の枠を一切外し、彼ら調香師に完全なる創造の自由を約束したのです。
これは、香港で唯一、パルファム・フレデリック・マルを扱う高級セレクトショップ、JOYCEブティック内にある、12人の調香師たちのポートレート。
香り、パルファムとしての完成度を追求することのみを条件とした、マル氏と調香師の密なセッションは長期間に及び、実に700回もの試作を経て誕生した伝説的なパルファムもあるそうです。
ボトルは、最もベーシックでシンプルなものを、マル氏がデザイン。
唯一のこだわりは、パルファムのクオリティのみ。 マーケティングは一切なし。 大規模なローンチイベントもなし。
各ビッグブランドが、フレグランスのイメージを飾り立てるのにかける予算を、『FREDERIC MALLE』は、ボトルの中のパルファムそのものに投資したのです。
一流の調香師たちが、愛と創造力の全てを注ぎ、思いのままに綴る香りのストーリーは、あまりに美しくあまりに深く、そして叙情的。
パルファム『FREDERIC MALLE』コレクションの数々は、他のブランドのものがどれも子供っぽくさえ思えてしまうほど、パルファムの洗練、成熟、品格、そして知性の極みといえると思います。
今までどんなトップブランドのパルファムでも、香水のクリエイターである調香師の名前が表に出ることは、実はありませんでした。
『FREDERIC MALLE』は、その芸術作品ともいえるパルファムを作る調香師たちを、初めて表舞台に押し出し、彼らの名前をボトルに記すことで、“パルファムの作者” として最高の賞賛とリスペクトを表したのです。
本の装丁を模したかのようなシンプルなパッケージは、フレデリック・マル氏が自ら言う ”香りの出版社“ のように、まさにハードカバーの美しい本のよう。
ストーリーを持つタイトルの下には、作家名のように調香師の名が記され、至高の香りを揃えたライブラリーのよう。
美意識は表現であり、感性。 感性は知性。 そして知性は、真に成熟した文化が持つ、人間に与えられた最も尊く価値のあるものなのではないかと、『FREDERIC MALLE』のパルファムを纏うたびに、思うのです。
JUN